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田中雄也

2026.10.20 / 更新日:2026/10/20

【腰痛の原因は姿勢だけじゃない】身体の使い方と改善方法

「姿勢だけが腰痛の原因ではない」

 

腰痛の原因は姿勢だけじゃない。呼吸・腹圧・股関節から考える身体の使い方

 

「腰が痛いから、腰をマッサージする」

「猫背だから、背筋を伸ばす」

「腰痛予防のために腹筋を鍛える」

腰に不調を感じたとき、このような対策を考える方は多いのではないでしょうか。

 

もちろん、これらが役立つ場合もあります。

しかし、腰痛について考えるとき、一つ大切な疑問があります。

本当に、腰だけを見ていればよいのでしょうか?

私たちの身体は、腰だけで動いているわけではありません。

 

呼吸をするときには横隔膜や腹筋群が働き、立ち上がるときには股関節や膝関節が動き、物を持ち上げるときには全身の筋肉が協力しています。

そのため、腰痛への対応を考える際にも、姿勢だけでなく、身体全体の動きや生活習慣に目を向けることが大切です。

今回は、呼吸・腹圧・股関節という3つの視点を中心に、腰痛と身体の使い方について解説します。

 

1.腰痛は「姿勢が悪いから」とは限らない

まず知っておきたいのは、猫背や反り腰だからといって、必ず腰痛になるわけではないということです。

腰痛には、筋肉や関節への負荷だけでなく、睡眠、ストレス、身体活動、既往歴など、さまざまな要素が関係します。

 

特定の姿勢が痛みを強める人もいますが、姿勢の見た目だけで原因を断定することはできません。

例えば、背筋を伸ばして座っていても、長時間動かずにいれば不快感が出ることがあります。

 

逆に、少し背中が丸まっていても、痛みを感じずに生活できる人もいます。

重要なのは、理想的な姿勢を一つ決めて、それを維持し続けることではありません。

自分にとって負担の少ない姿勢を選び、必要に応じて身体を動かせることです。

 

2.呼吸は、身体を支える働きにも関係している

 

呼吸というと、肺に空気を取り込むための働きだと思うかもしれません。

しかし、呼吸に関係する筋肉は、姿勢や身体の安定性にも関わっています。

特に注目したいのが、横隔膜です。

横隔膜は胸とお腹の間にあるドーム状の筋肉で、息を吸うときに収縮して下がり、肺に空気が入るのを助けます。

1997年に発表されたHodgesらの研究では、腕を素早く動かす際に、横隔膜が呼吸だけでなく姿勢調整にも関わることが確認されました。

これは、身体が手足を動かす際に、体幹の筋肉も協調して働いていることを示しています。

 

では、呼吸が浅いと腰痛になる?

ここは注意が必要です。

横隔膜が姿勢調整に関わることと、呼吸が浅いことが腰痛の直接的な原因になることは同じではありません。

呼吸の特徴や体幹の筋活動を確認することは、身体の使い方を理解する手がかりになります。

しかし、呼吸だけを改善すれば腰痛が治ると断定することはできません。

 

3.腹圧とは?腰を支えるための身体の仕組み

 

次に考えたいのが、腹圧です。

腹圧とは、お腹の内部にかかる圧力のことです。

腹圧の調整には、主に次の筋肉が関係します。

  • 横隔膜:呼吸と体幹の圧力調整に関わる
  • 腹横筋などの腹筋群:腹部を取り囲み、体幹の安定性に関わる
  • 多裂筋:脊柱の動きや安定性に関わる
  • 骨盤底筋群:骨盤の底から腹部の圧力調整に関わる

これらは独立して働くのではなく、動作や呼吸に応じて協調しています。

 

例えば、重い物を持つときと、椅子に座って休んでいるときでは、必要な筋活動は異なります。

腹圧を高めれば腰痛は改善する?

腹圧は身体を支える重要な仕組みですが、腹圧を高く保てば保つほどよいわけではありません。

常にお腹を固めたり、呼吸を止めたりすることが、すべての人に適しているわけではないからです。

大切なのは、動作に応じて必要な筋肉を働かせ、呼吸も調整できることです。

腹圧の練習は身体の使い方を学ぶ一つの方法ですが、腰痛に対する万能な治療法ではありません。

 

4.腰痛を考えるうえで、なぜ股関節が重要なのか?

 

ここで注目したいのが、股関節です。

股関節は、骨盤と太ももの骨をつなぐ関節で、身体を前に倒す、立ち上がる、歩くといった動作に関わります。

例えば、床に置いた荷物を持ち上げる場面を考えてみましょう。

このとき身体は、股関節、膝関節、腰椎などを組み合わせて動きます。

 

股関節を使って身体を前に倒す動作は、ヒップヒンジと呼ばれます。

ヒップヒンジは、お尻や太もも裏の筋肉を使いながら、物を持ち上げる動作などを練習する際に役立ちます。

 

ただし、ここにも重要な注意点があります。

腰を曲げる動作そのものが悪いわけではありません。

腰椎も本来動く関節です。腰をまったく動かさないことが正解なのではなく、扱う重さや動作の目的に応じて、身体を使い分けることが大切です。

また、股関節の動きが小さい人すべてに腰痛があるわけでもありません。

股関節の動きを確認することは、腰痛への運動指導を考える際の一つの評価項目です。

 

5.「腰を鍛える」だけではなく、動作全体を考える

腰痛がある人に対して、腹筋や背筋のトレーニングが役立つ場合があります。

しかし、同じ運動をすべての人に行えばよいわけではありません。

例えば、椅子から立ち上がる動作を考えてみましょう。

 

この動作には、体幹だけでなく、股関節、膝関節、足関節、下半身の筋肉が関わります。

そのため、運動指導では次のような点を確認することがあります。

  • 立ち上がる際に痛みが出るか
  • 股関節や膝関節を無理なく動かせるか
  • 呼吸を止めて過度に力んでいないか
  • 身体の左右で動きに大きな違いがあるか
  • 動作の回数や負荷が現在の体力に合っているか

ただし、これらの評価だけで腰痛の医学的原因を特定できるわけではありません。

身体の特徴を把握し、適切な運動を考えるための情報として活用することが重要です。

 

6.整体とトレーニング、それぞれの役割

 

腰痛に悩む方の中には、整体やマッサージを受けた経験がある方もいると思います。

手技による施術は、症状の軽減に役立つ場合があります。

一方、運動には、筋力や身体機能を高め、日常生活での動作能力を維持・向上させる役割があります。

英国NICEの腰痛診療ガイドラインでは、手技療法を検討する場合、運動を含む治療計画の一部として位置づけています。

 

また、WHOの2023年の慢性一次性腰痛ガイドラインでは、教育的支援や運動プログラムなどが、条件付きで推奨されています。

ただし、どの運動方法が最も優れているかについて、十分な根拠があるわけではありません。

 

YAMATO355が考える「整える」と「動ける身体づくり」

 

ここからは、研究結果そのものではなく、YAMATO355の運動指導における考え方です。

身体の状態を確認し、必要に応じて動きやすさを整えること。

そして、その状態で実際に身体を動かし、筋力や動作能力を高めていくこと。

この両方を大切にしています。

 

例えば、股関節の動きに課題が見つかった場合、単にストレッチするだけではなく、実際の立ち上がりやスクワットなどで、無理なく動かせるかを確認します。

呼吸や体幹の働きを確認する場合も同様です。

呼吸練習だけで終わらせず、必要に応じて日常動作やトレーニングにつなげていきます。

これは腰痛の原因を断定するためではなく、その人がより快適に身体を動かすための選択肢を増やすという考え方です。

なお、運動指導や整体は、医療機関による診断・治療に代わるものではありません。

 

7.今日からできる身体の使い方を見直す3つの方法

 

ここまでの内容を踏まえて、日常生活に取り入れやすい方法を3つ紹介します。

 

① 呼吸を止めず、ゆっくり身体を動かす

椅子に座り、無理のない姿勢で鼻から息を吸い、ゆっくり吐いてみましょう。

お腹や胸郭が自然に動く感覚を確認します。

呼吸を無理に深くしたり、長時間止めたりする必要はありません。

これは腰痛を直接治す運動ではなく、呼吸と身体の緊張に気づくための練習です。

 

② 股関節を使って前に倒れる動作を練習する

安定した場所で立ち、膝を軽く曲げます。

お尻を後ろに引くようにして、身体を少し前に倒してみましょう。

腰を無理に反らしたり、丸めないように固めたりする必要はありません。

まずは、股関節から身体を動かす感覚を確認します。

痛みがある場合は無理に続けないでください。

 

③ 長時間同じ姿勢を続けない

デスクワーク中は、適度に立ち上がる機会をつくりましょう。

短時間歩いたり、身体の向きを変えたりするだけでも、同じ姿勢を続けずに済みます。

無理に理想の姿勢を保つよりも、身体の状態に合わせて動きを取り入れることが大切です。

 

8.腰痛があるときに注意したいこと

腰痛には、医療機関での評価が必要なケースもあります。

特に、排尿・排便の異常、股の周囲の感覚低下、進行する脚の脱力などがある場合は、緊急の医療評価が必要です。

また、発熱、転倒後の強い痛み、原因不明の体重減少などがある場合も医療機関に相談してください。

腰痛が長引く場合や、日常生活に支障がある場合も、自己判断だけで運動を続けないことが重要です。

 

9.まとめ|腰痛を考えるときは、腰だけを見ない

 

腰痛は、猫背や反り腰といった姿勢だけで説明できるものではありません。

呼吸、腹圧、股関節、筋力、日常生活の動作など、身体にはさまざまな仕組みが関係しています。

ただし、それらのうち一つを「腰痛の本当の原因」と決めつけることも適切ではありません。

大切なのは、自分の身体の状態を知り、必要な運動や生活習慣を考えることです。

腰だけを鍛えるのではなく、身体全体が協力して動けるようにする。

この考え方を、YAMATO355では大切にしています。

名古屋・伏見のYAMATO355では、姿勢や身体の動きを確認しながら、一人ひとりの目的に合わせたパーソナルトレーニングを提供しています。

運動の始め方や身体の使い方に悩んでいる方は、ぜひご相談ください。

 

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